ハンガリー語ゼロ、英語中3レベルの元会社員主婦が、ハンガリーに住んだらどうなるのでしょうか。
4月になり日本は新年度ですね。先日Instagramにおいて、ハンガリーをはじめヨーロッパで暮らす方中心に「海外で住居選ぶ際に重視した点」「後悔した点」を募集しました。ご協力いただきました皆さま、ありがとうございました。今回はその結果を集計しましたので、お伝えします。
留学を考えている方やその親御さん、会社で異動命令が出た方などのご参考になれば嬉しいです。
ハンガリーってどんな国?
本題の前にハンガリーを知らない方のために、ハンガリーの概況を簡単にお伝えします。
ハンガリーはオーストリア、スロバキア、ウクライナ、ルーマニア、セルビア、クロアチア、スロベニアの7カ国に囲まれた内陸国。19 の県(メジェク、単数形: megye) と首都 (főváros) ブダペストからなる 20 の地域に分かれています。
面積 | 9.3万㎢(日本の4分の1) |
人口 | 960万人(2022年) |
首都 | ブダペスト |
民族 | ハンガリー人(84%)、ロマ人(2%)等 |
言語 | ハンガリー語 |
通貨 | フォリント |
最大の都市であり首都のブダペストは人口167万人(福岡市と同じくらい)、第二の都市デブレツェンは人口20万人と、首都に人口が集中しています。
ハンガリーに滞在する邦人数(2018月10月1日時点)は、1691人で、都市別ではブダペスト市1107人、デブレツェン市106人などとなっています。(出典:在ハンガリー日本国大使館)ちなみに、2023年10月1日付の海外在留邦人数調査統計によれば在ハンガリー邦人数は1993人となっていて、統計方法が同じか分かりませんがこの5年で300人増えているようですね。
ブダペスト市について
最も多くの邦人が住むブダペスト市。ブダペストは23の区から構成されています。ドナウ川の西をブダ、東側をペストといい、ブダとペストとオーブダは1873年11月17日に統一され、ブダペスト市となりました。
区ごとの特徴
日本人がよく行ったり住むことが多い地区を簡単にご紹介します。
区 | 特徴 |
I | ブダ城やマーチャーシュ教会などのブダペストの歴史地区やルダシュ温泉がある。 ブダ城地区からは素晴らしい眺望がのぞめる。観光客に人気のエリアだが、アパートメントも多く、外国人も多く住んでいる。 |
II | 1990 年代〜2000 年代に定住した上流階級および上中流階級の人々が多く、外国人もたくさん住んでいるエリア。山の手に広がる高級住宅地からの眺望は最高。 日本人学校、日本大使館があるため、二区に住む日本人は多い。 ショッピングセンターMammutや、そこに隣接したFeny utca Piacは日本人頻出スポット。 |
III | オーブダエリア。ブダペストの中で最も古い地区とされる。ドナウ川に浮かぶオーブダ島がある。 |
V | ブダペストの中心。国会議事堂、聖イシュトヴァーン大聖堂、ヴァーツィ通り、洗練されたレストラン、数多くの5つ星ホテル等がある。エレガントなブダペストの生活を送りたい人にオススメ。今後数年間は不動産価格は上昇し続ける予想。 |
VI | 世界遺産の一部アンドラーシ通り沿いに位置していて、壮大なネオルネッサンス様式の宮殿やエレガントな 19 世紀の別荘が建ち並ぶ。高級ブティック、オペラ座、フェレンツリスト音楽アカデミーなどがある。 ブダペスト西駅のWestendは日本人もよく行く大型ショッピングセンター。 |
VII | 第二次世界大戦中に、ゲットーが形成された地区。世界的にも美しいシナゴークがあり、また近年はナイトクラブ、娯楽施設やパブなどが立ち並んだことで、外国人にも人気の賑やかな地区。夜でも賑わっていることが多いので、住宅を選ぶ際はどの通りに住むか慎重に選んだ方が良い。 |
VIII | ハンガリー国立博物館や、壮麗な図書館Metropolitan Ervin Szabó Libraryなどがあり、賑やかでありながらも落ち着いた雰囲気の街。おしゃれなカフェも多い。 |
IX | 近年発展が著しい地区。Ráday utca沿いには美味しいレストランやベーカリーなどが充実している。中央市場、現代美術館がある。ドナウ川岸でもダウンタウン近くほどの喧騒がなく、ゆったりと過ごせる。ショッピングセンターLurdyは室内遊び場がかなり広く、我が家もお世話になっています。 |
XI | 近年人気の地区。ゲッレールト温泉、現代的なギャラリー、居心地の良いカフェ、レストラン、ペストリー ショップ、デザイン ショップなどもある。緑豊かな公園Kopaszi-gátでは春夏にピクニックを楽しんだりして、優雅に過ごせる。ショッピングセンターAlleeやEtele Plazaは日本人もよく行くスポット。 |
XII | ブダペストの裕福な居住者家族に人気のエリア。インターナショナルスクールがあり外国人も多く住むエリア。 ショッピングセンターMOM PARKは日本人もよく行くショッピングセンター。土曜日には近くでBIOマーケットも開催。 ハイキングやスキーでも人気の森林地区Normafaもある。 |
XIII | 近年発展が著しい地区。オフィス街には新築のアパートがたくさんあり、中心部へのアクセス良好ながら緑豊かなエリア。マルギット島に近い。 Pozsonyi útには居心地の良いカフェやショップも多い。最近人気の地区で平米単価も上昇気味。 |
IVX | ヴァロシュリゲット(市民公園)、ヴァイダフニャディ城があり緑豊かで環境の良い地域。それでいて中心部へのアクセス良好。新築アパートも多い。 |
海外住居選び、重視した点
さて、本題の住居選びの重視した点についてですが、家賃は当然なので、それ以外で重視した点についてお聞きしました。
第一位:立地
立地といっても、皆さん重視するポイントは様々です。いただいたご意見をまとめました。
- 交通機関へのアクセスの良さ
- スーパーが近くにある
- 学校、会社等へのアクセス
- こどもを遊ばせられる場所が近くにあるか
- 騒音の気になる通り沿いではなく、広場が家の目の前にあること
- 眺望がよい二区に住みたい
- ダウンタウンに住みたい
もちろん例に漏れずわたしも立地は家賃と同じくらい重視した項目です。
第二位:治安、セキュリティ
誰しも安全に住みたいもの。オートロック付き、2階以上、駐車場併設の家などがあがりました。
ちなみに、ハンガリー国内の犯罪発生マップはハンガリー警察のwebサイト、こちらから確認できます。
また、外務省海外安全情報配信サービス「たびレジ」に登録すると、ハンガリー国内で日本人が犯罪に遭ったり、デモなどがあって犯罪に巻き込まれる危険性が高まったりする場合にメールでお知らせがきますので、登録をお勧めします。
第三位:室内の設備、環境
といっても、皆さん重視するポイントはやはり様々です。いただいたご意見をまとめました。
- ベランダやテラス付き
- 家具付き
- クーラー付き
- バスタブ付き
- 孤立したキッチン(音や臭い漏れが気になるため)
- エレベーター付き
- 洗濯物や物干しスペースが地下ではなく居住空間にあること
- お風呂場以外にも独立したトイレがあること
- 陽当たり
- 最上階に住みたい
ハンガリーの夏(特に日中)は暑いですが、昔は今ほど暑くなかったようで、クーラーがない物件も多いです。空気が乾燥しているので日本のような不快さは少ないですが、風通しの悪い物件だと日中は地獄になります。
また、古いアパートメントはエレベーターがなかったり、あってもとても小さかったりします。あと、我が家のアパートメントはよくエレベーターが故障なのか止まってしまうこともしばしば。
洗濯物干しに関しては乾燥機や部屋干しが主流で、部屋干しの場合はハンガリーに限らずヨーロッパの物件でありがちなのですが地下室に物干しスペースがある物件もあります。
バスタブに関しては、家族用の広い物件であっても、バスタブがない家もあるようです。
ご家族の人数、生活スタイルなどによって室内設備や環境で何が必要かどうかよく考えた方が良さそうですね。
後悔したポイント
- バスタブがない(冬寒い)
- バスタブ付きの物件を選んだのに、お湯がタンク式で限られた湯量しか出ないので入れない
- バスタブや食洗機がサビていたりして汚くて使えない
- 下水の匂いが気になる
- 網戸がない
- シャッターがない(夏は寝られない)
-
ベランダの柵部分がガラス張りになっているなど、室内から外の眺望が見られるとよかった
-
築古物件から新築物件に引っ越したが、壁が薄く、隣人の生活音が聞こえるようになった
バスタブ付きが良かった、またはバスタブ付きを選んだのに思うように使えないという方が多くいらっしゃいました。
我が家もそうでしたが、入居前にクリーニング業者を入れていないオーナーさんもいるようで、(でも前の住民が住んでいる状況で内見しなきゃいけなかったりで)入居時には綺麗になっていると思っていたのに想定外!というケースもあります。事前にオーナーさんや不動産会社によく確認した方がよいですね。
網戸やシャッターなどの室内設備については、入居前にオーナーさんに取り付けてもらえるのか確認した方がよいですね。ちなみに網戸は、自分で貼り付けられるタイプがホームセンターなどで売っているので、オーナーさんに断られた場合はDIYも検討した方が良さそうです。
オーナーさんとのコミュニケーションや相性は大事!
日本でもそうですが、ハンガリーに住んでからは本当に感じるポイントです。
入居当初はお湯が出ない、食洗機が使えないなど、トラブルがつきもの。そんな時に迅速に対処してくれるオーナーさんだと安心ですよね。日本と違ってハンガリー人はのんびりしている方も多いですよ。
また、よくありがちなのが退去時のトラブル。使い方が汚い、故障しているなどと言って法外な金額を要求される方もいらっしゃるようです。(特に費用が会社負担になる駐在員に多いのでしょうか?)我が家はそういったことにならないように、代々日本人が住んでいる物件を選びました。
我が家の前の住民は夫と同じ会社に勤める日本人、その前は日本人学校の先生。そのオーナーさんは我が家の物件の他にも多数日本人に物件を貸している不動産オーナーで、日本人に対して理解や信頼が深いと思ったので、今の物件に住むことに決めました。(オーナー宛にいろいろなところから郵便物が届きますが、それに関しても私たちの方で一旦預かったりしていて、セキュリティがガバガバなオーナーですw その代わりと言ってはなんですが、部屋の設備を修繕してもらう時にわたしたちが留守であっても自分の鍵を使って入りこんできますw)
そういうオーナーに出会えることは少ないかもしれませんが、可能な限り不動産屋さんからオーナーの情報を仕入れるのは決して無駄にならないと思います。
また、クリスマスにはオーナーさんにご挨拶したりプレゼントを贈ったりして、日頃から良好な関係を築くようにしています。
あとは、何かトラブルや故障があった時はすぐ報告しています。直してくれないこともありますが(笑)、退去時に故障したのではなく、その前からずっと壊れていたんだとアピールすることができるからです。
家賃相場は?
ブダペストの家賃はここ数年でかなり上昇しているそうです。ハンガリーの家賃相場はこちらのサイトから確認することができます。(現時点で検索できるのはブダペスト、デブレツェン、ジェール、ペーチュ、セゲド。)シェアハウスや寮だったり、個別の物件の状況によって家賃は当然異なってきますので、あくまで参考までに。
※ちなみにハンガリーの郵便番号は4桁で、ブダペストの場合は必ず1から始まり、その次のふたつの数字が区の番号となります。したがってこの図にある郵便番号1088というのはブダペスト8区の8番目の郵便番号いうことになります。
わたしが出会った住みたい家
余談ですが…ハンガリー人のホームパーティや子どものお友達の関係で、いくつかハンガリーのお宅を訪問したことがあるのですが、現実的に住めそうなお宅でよかったアパートメントがあります。
それは、ソーラーパネル設置のお宅!
そのお宅、1,2階にオーナーさんが住んでいて、3階に知人宅があるのですが、その家の屋根に設置してあるソーラーパネルだけでその家のほぼ全ての電気を賄えるほど発電してくれるんだとか。なので、電気代はほぼタダらしいです。なんとも羨ましい。
これまでに自宅の地下にプールがある家だとか、素敵なお庭がある家だとか、ブランコや砂場がある家だとか、いくつも素敵なお家にご招待いただいたことがあるのですが、現実的な予算を考えると電気代タダの家が1番住みたいな、と思いましたw
さいごに
家選びは日本でも悩むのに、文化も言葉も違う海外ともなればなおさらですよね。これから新生活を迎える方の参考になれば嬉しいです。
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